ATOMはそのボディが破壊されない限りは永遠に成長することのないロボットですが、知能はかなり高度になっているようです。
これはパソコンなどと同じようで、ロボットであり、人工知能を持っているATOMはいわば学習能力が極めて高いようなのです。
この肉体の成長がなく知能が発達していくATOMはますます作ったテンマ博士にとっては異形の者になってしまうわけです。
まさしく名作「フランケンシュタイン」と同じ悲劇、いやそれ以上の悲劇が、高い知能を持つがゆえに浮き上がってくるのがATOMなのです。
ATOMはいわば未来社会の技術の粋を集めた最新型のロボットであり、だからこそ人間の心と成長する知能を持っているわけです。
しかしこのアンバランスな異形の息子をテンマ博士が拒んだことにより、ATOMは単なるロボットになり下がるわけです。
いうなればATOMは現代社会における親と子のコミュニケーション不全、あるいはコミュニケーション拒否を浮き彫りにしているのです。
しかし優秀な知能を持つがゆえに苦悩するのはATOMだけではなく、ATOMを捨て去ったテンマ博士にも襲いかかっていきます。
テンマ博士が望んだのは「失われた息子」であって、ATOMのような優秀なロボットではなかったことがいっそうの悲しみを誘います。
またATOMはフランケンシュタインのように復讐を企てたりはせず、淡々と自分の宿命を受け入れていってしまうわけなのです。
息子を愛することが出来なかった父であるテンマ博士は、高い知能を与えたATOMへの罪悪感を拭い去ることが出来ないのです。
原作とは変わってくるということになるのですが、高い知能を持つがゆえに「許す」ことを知っているATOMとテンマ博士の関係も見どころの一つです。