ATOMは原作にかなり沿ってストーリーが作られていて、主人公の少年の名前が「鉄腕アトム」ではトビオだったのに対し、トビーとなっています。
原作でもそうなのですが、ATOMは事故死してしまった息子をロボットとして生み出してしまう、父親のエゴからストーリーは始まります。
もともとATOMという名前で、主人公の少年は生まれてきたわけではなく、死んだ少年「トビー」の身代わりとして生まれてきているのです。
しかしATOMになっていく主人公「トビー」はロボットですから、成長をすることが出来ないわけですから、だんだん作りだした父親に疎まれるようになります。
この「トビー」は結果的には父親に捨てられ、そこから本当のATOMとしてのストーリーが展開されてくるのです。
不死であり、永遠に少年のままの姿であるATOMがストーリーのなかで背負わされている運命は非常に過酷です。
それでもなお父親のエゴで作られた「息子」という役割から、意思を持つロボット「ATOM」として生きていこうとする姿は感動的ですらあるのです。
ATOMのストーリーは、父と息子の関係の修復の物語であり、少年の自立の物語でもあり、生命の限界の物語でもあります。
すべてATOMのストーリーは現代に生きる人間が抱えている深い問題を提示しているかののようではありませんか。
単なるロボットアクションストーリーではなく、ATOMは生々しさをも内包している映画に仕上がっているとも言われています。
ATOMのストーリーを考えていけば、名作「フランケンシュタイン」で描かれている生み出されたものの不幸を重ねることが出来ます。
しかしATOMは人間と同じ心を持ち、悲しみに暮れることもあれば、喜びに満ちることもあることで、いっそうストーリーが心にしみるのです。